2022年10月20日木曜日

21世紀のアリとキリギリス

 わりと最近、あるところに、アリとキリギリスがおりました。

 アリとキリギリスは同じ会社に同期で入社し、年俸はどちらもお米300粒でした。

 アリは言いました。

「僕はバリバリ働いて給料を上げてもらい、いい暮らしをするんだ」

 キリギリスは言いました。

「僕は仕事も暮らしもそこそこでいいから、将来のために少しずつ投資するよ」

 それを聞いて、アリは言いました。

「投資だって?何を夢見ているんだい。地道に働くのが一番だよ」

 言われてキリギリスは黙っていましたが、気持ちは変わらないようでした。


 その後、アリは一生懸命に働き、給料が毎年1%ずつ増えていきました。

300

300.0×1.01=303.0

303.0×1.01≒306.0

306.0×1.01≒309.1

309.1×1.01≒312.2

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        ・


 一方、キリギリスは歌ってばかりでろくに働かないため、全く給料が増えず暮らしも質素なままでした。しかし、毎月お米10粒ずつ年間120粒をインデックスファンドに投資し、年平均4%の配当も再投資して資産を増やしました。

120

120.0×1.04+120=244.8

244.8×1.04+120≒374.6

374.6×1.04+120≒509.6

509.6×1.04+120≒650.0

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        ・


 40年後、アリは会社で昇進し、年俸はお米450粒ほどになっていました。

 アリの巣ローンは完済しましたが、老後が不安なため、まだ10年くらいは働く予定です。

「そうだ。キリギリスはどうしているだろう。まだ投資なんてものに夢を見ているんだろうか」

 アリはキリギリスを呼んで、聞きました。

「どうだね、キリギリス君。投資の方は上手くいっているかね」

「はい。それはもう」キリギリスが言うと、アリは「ふふん」と鼻をならして聞きました。

「でも、君もあと10年くらいは働くんだろう?」

 アリの馬鹿にしたような態度に、ニヤリと笑ってキリギリスは答えました。

「いやあ、俺は明日で仕事を辞めることにしたよ。資産はお米12000粒ほどになったし、配当だけでも年間お米450粒ほど入るんでね。毎日歌って暮らすさ」

 呆気に取られているアリの顔を尻目に、キリギリスはさっさと家に帰って行きました。


 その後、子々孫々まで、アリは一生懸命働いて暮らし、キリギリスは歌って遊んで暮らしましたとさ。


~教訓~

 資本収益率(r)>経済成長率(g)

 指数関数の恐ろしさ(複利編)

 平和が続くと、貧富の格差は広がる。

 ただし、このキリギリスと同じ事が出来る精神力の持ち主は、極わずかである。






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