わりと最近、あるところに、アリとキリギリスがおりました。
アリとキリギリスは同じ会社に同期で入社し、年俸はどちらもお米300粒でした。
アリは言いました。
「僕はバリバリ働いて給料を上げてもらい、いい暮らしをするんだ」
キリギリスは言いました。
「僕は仕事も暮らしもそこそこでいいから、将来のために少しずつ投資するよ」
それを聞いて、アリは言いました。
「投資だって?何を夢見ているんだい。地道に働くのが一番だよ」
言われてキリギリスは黙っていましたが、気持ちは変わらないようでした。
その後、アリは一生懸命に働き、給料が毎年1%ずつ増えていきました。
300
300.0×1.01=303.0
303.0×1.01≒306.0
306.0×1.01≒309.1
309.1×1.01≒312.2
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一方、キリギリスは歌ってばかりでろくに働かないため、全く給料が増えず暮らしも質素なままでした。しかし、毎月お米10粒ずつ年間120粒をインデックスファンドに投資し、年平均4%の配当も再投資して資産を増やしました。
120
120.0×1.04+120=244.8
244.8×1.04+120≒374.6
374.6×1.04+120≒509.6
509.6×1.04+120≒650.0
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40年後、アリは会社で昇進し、年俸はお米450粒ほどになっていました。
アリの巣ローンは完済しましたが、老後が不安なため、まだ10年くらいは働く予定です。
「そうだ。キリギリスはどうしているだろう。まだ投資なんてものに夢を見ているんだろうか」
アリはキリギリスを呼んで、聞きました。
「どうだね、キリギリス君。投資の方は上手くいっているかね」
「はい。それはもう」キリギリスが言うと、アリは「ふふん」と鼻をならして聞きました。
「でも、君もあと10年くらいは働くんだろう?」
アリの馬鹿にしたような態度に、ニヤリと笑ってキリギリスは答えました。
「いやあ、俺は明日で仕事を辞めることにしたよ。資産はお米12000粒ほどになったし、配当だけでも年間お米450粒ほど入るんでね。毎日歌って暮らすさ」
呆気に取られているアリの顔を尻目に、キリギリスはさっさと家に帰って行きました。
その後、子々孫々まで、アリは一生懸命働いて暮らし、キリギリスは歌って遊んで暮らしましたとさ。
~教訓~
資本収益率(r)>経済成長率(g)
指数関数の恐ろしさ(複利編)
平和が続くと、貧富の格差は広がる。
ただし、このキリギリスと同じ事が出来る精神力の持ち主は、極わずかである。
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