2022年10月20日木曜日

カルト教祖と狂信者

  昔々、あるところに、カルト宗教の教祖と信者たちがおりました。

 ある年の夏、教祖は信者たちを集めて言いました。

「今年の12月1日に大津波が起こり、人類は滅びる」

 さあ、それを信じた信者たちは大変です。

「もうお終いだ。どうしよう」

「大変なことです。助けて、教祖様」

 口々に叫んでは、教祖に助けを求めました。

「安心しなさい。あなた達は助かります。私と一緒に暮らしなさい」

 教祖の落ち着いた優しい声を聞くと、信者たちは少し心が安らぎました。

「分かりました。全財産を売り払って、教祖様に捧げます」

 信者たちは教祖と一緒に暮らすこととなりました。


 瞬く間に月日は過ぎ、12月1日になりました。

 教祖の予言によると、今日は人類滅亡の日です。

 怯える信者たちは、いつしか教祖の周りに車座になって集まりました。

 しかし、正午を過ぎ、夕方になっても、何の異変もありません。

 ついに時計の針は夜12時を周り、何も起きないまま12月2日になりました。

 信者たちはざわざわと騒ぎ始め、最後に教祖の顔を見ました。

 落ち着かない信者たちの前で、教祖は立ち上がり、厳かな声で言い放ちました。

「私の祈りが通じ、危機は回避された」

 その言葉を聞いた信者たちは皆、晴れやかな声で叫びました。

「ありがとう、教祖様!」


 信者たちは、晴れて狂信者になったのです。


~ 教訓 ~

  自らの過ちを認められないと、認知的不協和に陥る。

  コロナで日本人が40万人死んだかな?

1 件のコメント:

  1. 私はワクチン非接種です。
    「打ちましたか?」
    なんて聞かれても、
    「打つわけねーじゃん、馬鹿じゃねぇの?」
    って答えます。
    ジャンルによらず読書好きなので、こんなことになるだろうと予想はついていましたね。

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